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イギリスのプログラミング教育 パート1



こんにちは!! 英国在中10年目のラッドです。

現在、イギリスの中等学校で日本語教師をしています。以前は、日本で英語の教師をしていました。

今回もイギリスの教育に関心のある皆様に役立つ情報をお届けしたいと思いますので、お付き合い願います!

イギリスは、IT教育を義務教育過程にいち早く取り入れた国として有名です。1995年にはすでに教科「IT」が学校に導入され、それから4年後の1999年に、教科「IT」が「ICT」に変更され、そこでICTリテラシーと情報活用が教授されました。

日本のIT教育は?というと、教科「情報」は、イギリスよりも8年遅れた2003年に導入されたのです。日本の遅れが明らかですね。

イギリスでは、さらに2013年から新教科「コンピューティング」が「ICT」を取って代わり、学校で教授されています。

今回は、プログラミング教育の最先端を行くイギリスの教科「コンピューティング」についてご紹介します。

教科「コンピューティング」導入の背景

1999年に導入された教科「ICT」では、コンピュータの操作やアプリケーションの使用が主に教授されていました。しかし、それから間もなく、この教科「ICT」が産業界のニーズに合致していないとの不満が企業側から聞かれるようになってきたのです。

この頃イギリスでは、テクノロジーやエンジニアリング分野で人材不足が続き、コンピュータサイエンスのできる人材が求められていました。この分野の深い知識の習得が企業側から

強く望まれるようになってきていたのです。

さらに産業界は、コンピュータサイエンスの学習がイギリスの経済成長を助けるばかりでなく、生徒の他教科の学習や人格にも大きな影響を与えることを指摘しました。

その影響とは?

  • ・アルゴリズムの学習は、文章を構成する能力を高める
  • ・コンピューティングで生徒は考えることを学習するので、ソフトスキルが伸びる
  • ・創造力、算数及び国語の能力が向上する

このような指摘を受けて、英国教育省は、20139月から必修科目として初等・中等学校に教科「コンピューティング」を導入することを決定したのです。

初等・中等学校における「コンピューティング」の目標

イギリスのイングランド地方について紹介します。

学習指導の指針となるのがナショナルカリキュラムと言われるものです。これには、学習目的や指導指針が記されています。

まず初めに、学習目的を見てみましょう。

  • ・コンピューテショナル・シンキングと周りの社会を理解し、変えて行くための創造性を学習者に与える。
  • ・算数、数学、科学、デザインとテクノロジーと深い関わりがあり、自然と人工システムに対する洞察力を与える。
  • ・コンピュータサイエンスを中心として、生徒は、情報とコンピュテーションの原理、デジタルシステムが作動する仕組み、プログラミングを通してそれらの知識を使う方法を学習する。
  • ・このような理解と知識をもとにして、生徒は、プログラムやシステム、多様なコンテンツの創造に情報技術を生かすことができるようになる。
  • ・将来の職業としてデジタルワールドへ積極的に参加できる程度のデジタルリテラシーを獲得できる。

次に、もう少し具体的に見てみましょう。

5歳から15歳までの間に、児童・生徒が達成すべきことは?

  • ・抽象概念、論理、アルゴリズム、データ表現等のコンピュータサイエンスの原理及び概念の基礎を理解し応用できる。
  • ・コンピュテーションに関係する用語で課題を分析することができ、それらの課題を解決するために、プログラム作成などの経験を実際に積んでいく。
  • ・課題解決のために、新しい情報技術を評価したり応用したりできる。
  • ・有能で責任感の自信を有した創造的なICTユーザとなる。

これらの目標を達成するために、学校ではどのように取り組んでいるのでしょうか。

授業時数と指導者

コンピューティングは、国語や算数のように独立した教科として学校で教えられています。必修科目ですので、15歳までに指定された内容を全て学習しなければなりません。授業時数、指導内容、方法は、学校の所属する地区または各学校が決定できます。初等・中等学校では、週1時間の授業時間の割り当てが一般的に行われています。また、中等学校の最高学年である14歳と15歳については、GCSE試験の試験科目として選択した生徒のみが学習している場合が多いようです。

次に誰が指導しているのでしょうか?

初等学校では学級担任が指導しています。中等学校では、専任教員が担当していますので、日本とあまり変わりありません。

補助教員を雇用する学校もあると聞きますが、学校の予算に余裕がない限りこの選択は難しいようです。教員の知識やスキル不足は、継続的な課題であり、教育省の主催する研修だけでは足りず、教員を対象とした研修を施す民間企業も今では増えてきています。

いかがでしたでしょうか。

次回は、教科「コンピューティング」が初等・中等学校でどのように教えられているのか、そして、その指導内容等についてご紹介したいと思います。お楽しみに!

この記事を書いた人
デジタネ編集部

「ライフスタイルとしての学び」を提供するEdTech Companyとして、最新テクノロジーを活かしたデジタル教育を提供。
マインクラフトやRobloxといった子どもに大人気のゲームを活用したプログラミング教材を提供する「デジタネ(旧D-SCHOOL)」を運営。また、小学校・中学校・高等学校向けにプログラミングやクリエイティブ授業を提供。

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